高野内、園町、窈子、江波、真由子、妹尾、難波、近藤、真野の9人の捜査員は、正午過ぎた頃、岡山駅に到着した。
地下駐車場に車を止めて、改札口を通り、14番ホームに向かった。
上り『はやぶさ』『富士』の併結列車が止まるホームである。
西住伸吾が撮影した駅名表の写真を見ながら、妹尾は、
「おそらく、西住伸吾は、一緒に写っているベンチやゴミ箱、広告看板との位置関係から、あの駅名表を写したんだと思うな」
と、駅名表を指さした。
駅名表の下には、ベンチやゴミ箱、広告看板、時刻表などがある。
「ここは、『はやぶさ』編成の客車が止まる位置ですから、間違いないでしょうね」
と、難波は、停車位置案内や駅名表の周辺を見ながら言った。
駅名表は、電光式で、夜間は、内部に組み込んだ蛍光灯で照らされる仕組みになっている。
高野内も、妹尾が指さした駅名表のほうに眼を向けた。
よく見ると、駅名表の左端上部が割られていた。
誰かが、石か何かを投げて壊したのだろう。
「あっ、この駅名表、誰かに壊されていますね。写真に写っているのは、何ともないのに」
と、高野内が言うと、妹尾は、
「言われてみれば、そうじゃな」
と頷いた。
「いつ壊されたのでしょうか?」
と、園町が言うと、
「俺も、それを知りたいな。ひょっとしたら、西住伸吾のアリバイを崩す手がかりになるかもしれないよ」
と、高野内。
「じゃあ、岡山の鉄警隊の人に聞いてみよう」
と、妹尾は言い、そして、岡山駅構内にある、鉄道警察隊の分駐所へ向かった。
鉄道警察隊の分駐所へ行くと、50歳くらいの男性警察官が出てきて、
「何か御用でしょうか?」
と、相手は言った。
妹尾が警察手帳を見せながら、
「県警の妹尾ですが、14番ホームの駅名表の破損の件について、お聞きしたいのですが」
すると、相手は、
「私は、鉄道警察隊の安原(ヤスハラ)といいますが、駅名表を破損させた犯人は、私と、うちの隊員が、逮捕しました」
と言った。
「それは、いつ頃でしたか?」
と、妹尾が聞くと、
「20日の晩です。少年と思われる男2人が、14番ホームで、石を投げながら、ふざけまわっているという通報がありまして、駆けつけたところ、少年2人が、駅名表とかに石を投げていました。そのとき、駅名表が破損しましたね」
と、安原は、答えた。
「動機は、何だったのですか?」
「2人とも、むしゃくしゃしたからと言っていましたね。だからといって、駅にあるものを石投げて壊すなんて、悪質極まりないですよ」
と、安原は、呆れたように言った。
「破壊行為があったのは、本当に、20日の晩で間違いないのですね?」
妹尾が、入念そうに聞くと、
「ええ。今月20日の夜11時ごろでした」
と、安原は、はっきりとした口調で言った。
それを聞いた妹尾は、
「どうも、ありがとう」
と言って、分駐所をあとにした。
高野内たちや真由子、妹尾たちや近藤たちは、岡山駅をあとにして、岡山県警本部に戻った。
「これで、伸吾が岡山駅の駅名表を、『はやぶさ』乗車中に撮ったというのは、うそだとわかりましたね」
と、高野内が言うと、
「ええ。西住伸吾は、新山口で、『はやぶさ』を下車したあと、『ひかり484号』で、岡山へ行き、『サンライズ瀬戸』に乗って、鴨井圭を殺害して、下車したあと、『はやぶさ』に戻ったのよ」
と、真由子。
窈子が、時刻表のページをめくりながら、
「犯人の心理としては、殺害したら、なるべく早く下車したいでしょう」
と言うと、真由子は、
「ええ。そうでしょ」
「それなら、きっと、姫路で降りたと思いますわ」
「姫路には、何時に到着するの?」
「23時34分ですわ。それで、発車が1分後の35分です」
「それで、その姫路駅に、『はやぶさ』は、停車するの?」
窈子は、時刻表のページを、さらにめくりながら、
「あっ、姫路には、『はやぶさ』は、止まらないですわ。それどころか、岡山を出ると、名古屋までノンストップです」
と、がっかりしたように言った。
「どうやって、『サンライズ瀬戸』から下車したあと、『はやぶさ』に戻ったかが、問題だな…」
それらの会話を聞いた高野内は、頭を痛めるような言い方になった。
時刻表を見ると、『サンライズ瀬戸』『サンライズ出雲』の併結列車は、23時34分に、姫路駅に停車するが、姫路駅には、『はやぶさ』『富士』の併結列車は、停車しないのである。
上り『はやぶさ』『富士』は、岡山駅を0時48分に発車すると、5時16分に、名古屋に停車するまで、ノンストップである。
それでは、姫路駅で下車しても、『はやぶさ』に戻ることは不可能である。
しかし、西住伸吾が、『はやぶさ』が横浜発車後も乗車していたことを車掌が、東京駅で、伸吾が『はやぶさ』から下車するところを、駅員の1人が確認しているのである。
そのままだと、西住伸吾のアリバイが、完全に崩せたとはいえない。
伸吾のアリバイを崩す方法はあるのだろうか。
地下駐車場に車を止めて、改札口を通り、14番ホームに向かった。
上り『はやぶさ』『富士』の併結列車が止まるホームである。
西住伸吾が撮影した駅名表の写真を見ながら、妹尾は、
「おそらく、西住伸吾は、一緒に写っているベンチやゴミ箱、広告看板との位置関係から、あの駅名表を写したんだと思うな」
と、駅名表を指さした。
駅名表の下には、ベンチやゴミ箱、広告看板、時刻表などがある。
「ここは、『はやぶさ』編成の客車が止まる位置ですから、間違いないでしょうね」
と、難波は、停車位置案内や駅名表の周辺を見ながら言った。
駅名表は、電光式で、夜間は、内部に組み込んだ蛍光灯で照らされる仕組みになっている。
高野内も、妹尾が指さした駅名表のほうに眼を向けた。
よく見ると、駅名表の左端上部が割られていた。
誰かが、石か何かを投げて壊したのだろう。
「あっ、この駅名表、誰かに壊されていますね。写真に写っているのは、何ともないのに」
と、高野内が言うと、妹尾は、
「言われてみれば、そうじゃな」
と頷いた。
「いつ壊されたのでしょうか?」
と、園町が言うと、
「俺も、それを知りたいな。ひょっとしたら、西住伸吾のアリバイを崩す手がかりになるかもしれないよ」
と、高野内。
「じゃあ、岡山の鉄警隊の人に聞いてみよう」
と、妹尾は言い、そして、岡山駅構内にある、鉄道警察隊の分駐所へ向かった。
鉄道警察隊の分駐所へ行くと、50歳くらいの男性警察官が出てきて、
「何か御用でしょうか?」
と、相手は言った。
妹尾が警察手帳を見せながら、
「県警の妹尾ですが、14番ホームの駅名表の破損の件について、お聞きしたいのですが」
すると、相手は、
「私は、鉄道警察隊の安原(ヤスハラ)といいますが、駅名表を破損させた犯人は、私と、うちの隊員が、逮捕しました」
と言った。
「それは、いつ頃でしたか?」
と、妹尾が聞くと、
「20日の晩です。少年と思われる男2人が、14番ホームで、石を投げながら、ふざけまわっているという通報がありまして、駆けつけたところ、少年2人が、駅名表とかに石を投げていました。そのとき、駅名表が破損しましたね」
と、安原は、答えた。
「動機は、何だったのですか?」
「2人とも、むしゃくしゃしたからと言っていましたね。だからといって、駅にあるものを石投げて壊すなんて、悪質極まりないですよ」
と、安原は、呆れたように言った。
「破壊行為があったのは、本当に、20日の晩で間違いないのですね?」
妹尾が、入念そうに聞くと、
「ええ。今月20日の夜11時ごろでした」
と、安原は、はっきりとした口調で言った。
それを聞いた妹尾は、
「どうも、ありがとう」
と言って、分駐所をあとにした。
高野内たちや真由子、妹尾たちや近藤たちは、岡山駅をあとにして、岡山県警本部に戻った。
「これで、伸吾が岡山駅の駅名表を、『はやぶさ』乗車中に撮ったというのは、うそだとわかりましたね」
と、高野内が言うと、
「ええ。西住伸吾は、新山口で、『はやぶさ』を下車したあと、『ひかり484号』で、岡山へ行き、『サンライズ瀬戸』に乗って、鴨井圭を殺害して、下車したあと、『はやぶさ』に戻ったのよ」
と、真由子。
窈子が、時刻表のページをめくりながら、
「犯人の心理としては、殺害したら、なるべく早く下車したいでしょう」
と言うと、真由子は、
「ええ。そうでしょ」
「それなら、きっと、姫路で降りたと思いますわ」
「姫路には、何時に到着するの?」
「23時34分ですわ。それで、発車が1分後の35分です」
「それで、その姫路駅に、『はやぶさ』は、停車するの?」
窈子は、時刻表のページを、さらにめくりながら、
「あっ、姫路には、『はやぶさ』は、止まらないですわ。それどころか、岡山を出ると、名古屋までノンストップです」
と、がっかりしたように言った。
「どうやって、『サンライズ瀬戸』から下車したあと、『はやぶさ』に戻ったかが、問題だな…」
それらの会話を聞いた高野内は、頭を痛めるような言い方になった。
時刻表を見ると、『サンライズ瀬戸』『サンライズ出雲』の併結列車は、23時34分に、姫路駅に停車するが、姫路駅には、『はやぶさ』『富士』の併結列車は、停車しないのである。
上り『はやぶさ』『富士』は、岡山駅を0時48分に発車すると、5時16分に、名古屋に停車するまで、ノンストップである。
それでは、姫路駅で下車しても、『はやぶさ』に戻ることは不可能である。
しかし、西住伸吾が、『はやぶさ』が横浜発車後も乗車していたことを車掌が、東京駅で、伸吾が『はやぶさ』から下車するところを、駅員の1人が確認しているのである。
そのままだと、西住伸吾のアリバイが、完全に崩せたとはいえない。
伸吾のアリバイを崩す方法はあるのだろうか。