池上雅典の取調べは、夜を徹して行なわれた。
「15年前の4月2日、宮川達彦君の両親と兄が自宅の家事で死亡した件についても話してもらおうか」
と、高野内が言うと、
「宮川君の両親は、宮川君の死について、不審を抱いていました。そのままでは、伸吾さんの犯行であることが明るみに出るのは時間の問題だと思いました」
と、池上は言った。
今度は、近藤が、鋭い目つきで、
「やっぱり、あんたたちがやったじゃな」
と言うと、池上は、
「はい。社長の命令で、私も手伝いました」
と答えた。
「手伝ったじゃと?」
と、近藤が言うと、
「わたしは、社長の命令を受けて、見張り役をやっていました。実際に火をつけて殺害したのは、神崎さんです」
と、池上は、震えながら答えた。
すると、近藤は、
「神崎って、神崎武彦かね?」
と、入念に聞いた。
「そうです」
と、池上は答えた。
「じゃあ、次は、4月18日に、藤野茂巡査部長が、戸塚雅明のトラックに追突されて亡くなった件についても、話してもらえるかのう」
と、近藤は言った。
「それも、社長の命令で、戸塚さんにやらせたんです」
と、池上。
「じゃあ、戸塚は、西住晴伸の指示で、藤野巡査部長の乗用車に故意に追突して、殺害したことに違いないんじゃな」
と、近藤が言うと、
「そうです。間違いありません」
と、池上は言った。
「それで、なんで、藤野巡査部長を殺させたのかね?」
と、近藤が睨みながら言うと、
「動機はカネです」
と、池上は答えた。
「カネじゃと?」
と、近藤が言うと、
「はい。藤野さんには、社長が3千万円を支払うのと引き換えに、宮川君の死の件について、こちらに有利なようにしてもらうように約束してもらっていたんですが」
と、池上は言った。
「やっぱり、そういうことだったんじゃな!」
と、近藤は言ったあと、
「その金額の件でトラブルになったんじゃな?」
「はい。藤野さんのカネの要求がたちまちエスカレートしてきたんです。それで、社長が戸塚さんに、交通事故に見せかけて、藤野さんを殺すように頼んだのです」
と、池上。
「じゃあ、次は、中学校の教頭先生の福原真紀子が亡くなった件についても、聞かせてもらえるかのう」
「はい」
と、池上は返事したあと、
「教頭先生は、宮川君や平山先生の死について、いろいろ不審な点に気付きだしました。それで、カネで口止めしようとしたのですが…」
「教頭先生も、多額の口止め料を要求して、もめたのかね?」
「いいえ。教頭先生は、頑として、それに応じようとしませんでした。それどころか、証拠を揃えて、警察に、真実を明らかにしてもらうように働きかけると言い出したのです」
「それで、福原教頭先生が飲むことを計算の上、毒入りワインを送って、殺害したのじゃな!」
「はい」
と、池上は言ったあと、
「送るように命じたのは、社長ですが、ワインに毒を入れて、宅配便で送ったのは、私です」
こうして、15年前に起きた殺人事件について、池上は事実を認めた。
取調べは、まだ終わらない。
「15年前の4月2日、宮川達彦君の両親と兄が自宅の家事で死亡した件についても話してもらおうか」
と、高野内が言うと、
「宮川君の両親は、宮川君の死について、不審を抱いていました。そのままでは、伸吾さんの犯行であることが明るみに出るのは時間の問題だと思いました」
と、池上は言った。
今度は、近藤が、鋭い目つきで、
「やっぱり、あんたたちがやったじゃな」
と言うと、池上は、
「はい。社長の命令で、私も手伝いました」
と答えた。
「手伝ったじゃと?」
と、近藤が言うと、
「わたしは、社長の命令を受けて、見張り役をやっていました。実際に火をつけて殺害したのは、神崎さんです」
と、池上は、震えながら答えた。
すると、近藤は、
「神崎って、神崎武彦かね?」
と、入念に聞いた。
「そうです」
と、池上は答えた。
「じゃあ、次は、4月18日に、藤野茂巡査部長が、戸塚雅明のトラックに追突されて亡くなった件についても、話してもらえるかのう」
と、近藤は言った。
「それも、社長の命令で、戸塚さんにやらせたんです」
と、池上。
「じゃあ、戸塚は、西住晴伸の指示で、藤野巡査部長の乗用車に故意に追突して、殺害したことに違いないんじゃな」
と、近藤が言うと、
「そうです。間違いありません」
と、池上は言った。
「それで、なんで、藤野巡査部長を殺させたのかね?」
と、近藤が睨みながら言うと、
「動機はカネです」
と、池上は答えた。
「カネじゃと?」
と、近藤が言うと、
「はい。藤野さんには、社長が3千万円を支払うのと引き換えに、宮川君の死の件について、こちらに有利なようにしてもらうように約束してもらっていたんですが」
と、池上は言った。
「やっぱり、そういうことだったんじゃな!」
と、近藤は言ったあと、
「その金額の件でトラブルになったんじゃな?」
「はい。藤野さんのカネの要求がたちまちエスカレートしてきたんです。それで、社長が戸塚さんに、交通事故に見せかけて、藤野さんを殺すように頼んだのです」
と、池上。
「じゃあ、次は、中学校の教頭先生の福原真紀子が亡くなった件についても、聞かせてもらえるかのう」
「はい」
と、池上は返事したあと、
「教頭先生は、宮川君や平山先生の死について、いろいろ不審な点に気付きだしました。それで、カネで口止めしようとしたのですが…」
「教頭先生も、多額の口止め料を要求して、もめたのかね?」
「いいえ。教頭先生は、頑として、それに応じようとしませんでした。それどころか、証拠を揃えて、警察に、真実を明らかにしてもらうように働きかけると言い出したのです」
「それで、福原教頭先生が飲むことを計算の上、毒入りワインを送って、殺害したのじゃな!」
「はい」
と、池上は言ったあと、
「送るように命じたのは、社長ですが、ワインに毒を入れて、宅配便で送ったのは、私です」
こうして、15年前に起きた殺人事件について、池上は事実を認めた。
取調べは、まだ終わらない。