10月14日の朝8時前、高野内、園町、鶴尾、奈々美の4人は、東京駅分駐所に出勤した。
桑田警部や貴代子、真希もいた。
「警部、岩崎真実の親友の黒坂由利と早崎裕允との接点があるかどうか調べてみたいと思います」
と、高野内がはりきったように言うと、
「黒坂由利という人物が、早崎裕允殺害の件に何か関係あると、高野内君はみているのかね?」
と、桑田は聞いた。
「今はまだはっきりとはいえないのですが、もしかしたら、関係あるかもしれないと、私は思います。ぜひ、黒坂由利に会って、話を聞いてみたいのですが。」
と、高野内は答えた。
「そうか。わかった」
と、桑田は言った。
午前9時過ぎ、高野内と園町は、覆面車で品川区大井にある黒坂由利の自宅に向かった。由利の自宅は集合住宅の3階らしい。
9時50分頃、高野内が運転する覆面車は、由利の自宅の前に到着した。5階建ての賃貸マンションだった。入口には防犯扉がついている。
高野内と園町は、車から降りると、由利の部屋の番号を押して、チャイムを鳴らした。
しかし、返事はなかった。
「仕事に行っているのかもしれませんね」
と、園町が言うと、
「そうだな。勤務先のI病院に行ってみよう」
と、高野内は言いながら、覆面車に向かった。
園町もあとをついてきた。
そして、高野内と園町は、覆面車で、大田区のI病院に向かった。
10時半頃、I病院の駐車場に入った。
病院は、9階建ての大きな建物だった。場所は、池上駅から徒歩でもそれほど時間がかからないところだった。
高野内と園町は、建物に入ると、受付にいる女性に警察手帳を見せながら、
「鉄道警察隊ですが、お宅の病院にお勤めの方に黒坂由利さんはいらっしゃいますかね」
と尋ねた。
「看護師の黒坂でしょうか?」
と、受付の女性は聞き返した。
「そうです」
と、高野内は答えた。
「少々お待ちください」
と、受付係は言ったあと、高野内たちの前から、いったん去った。
そして、数分後、50歳くらいに見える恰幅のよさそうな男を連れてきた。
恰幅のいい男は、高野内たちのほうを向くと、
「警察の方でしょうか?」
と言った。
高野内は、警察手帳を、その男にも見せながら、
「そうですが、看護師の黒坂由利さんにお聞きしたいことがあるのですが」
と言った。
すると、相手は、
「私は、事務長の竹山(タケヤマ)といいますが、黒坂は出勤しております。よろしければ、お呼びいたしますが」
と、少し緊張した表情で言った。
「お願いします」
と、高野内が答えると、竹山は、
「黒坂君が、何か警察のご厄介になるようなことをしたのですか?」
と、入念そうに聞いた。
「いいえ。そういうわけではないのですが、ある事件の捜査で、黒坂さんもお聞きしたいことがあるのです」
と、高野内は、落ち着いた口調で答えた。
「わかりました。黒坂君を呼んできます」
と、竹山は言った。
それから数分後、竹山は、女性の看護師を1人連れてきた。
その看護師は、30代くらいに見える細身の美人で、髪はセミロングだった。
「警察の方でしょうか?」
と、女性看護師は聞いてきた。
「そうです」
と、高野内は答えたあと、相手の顔をじっと見ながら、
「黒坂由利さんですね?」
と言った。
「そうですが、警察の方がわたしに何の御用ですか?」
と、由利は聞き返した。
「我々は、今月の8日に、新幹線『のぞみ218号』の車内で発生した殺人事件の捜査をしています」
と、高野内は言ったあと、
「その殺人事件の害者は、早崎裕允というのですが、我々が調べたら、2年近く前から、岩崎正信さんから、毎月現金5万円が振り込まれていることもわかりました」
と、相手に説明するような言い方で言った。
「それがわたしとどのように関係あるのですか?」
と、由利は、不快そうな表情で言った。
「岩崎正信さんは、あなたの親友だった岩崎真実さんの父親ですよ」
と、今度は、園町が言った。
すると、由利は、
「そうですけど、真実のお父さんが、ハヤサキという男に毎月5万円振り込んでいたことと、そのハヤサキという男が、新幹線の中で殺されたことと、わたしがどういう関係があるのですか?」
と、少し怒ったような声で言った。
「それについて、調べたいと思い、あなたにもお聞きすることにしたのです」
と、高野内が言うと、由利は、
「それなら、わたしは無関係ですわ。第一、ハヤサキという男、知りませんし」
と言った。
「そうですか。わかりました。では、失礼します」
と、高野内は言ったあと、由利の前から去った。
そして、高野内と園町は、覆面車に乗り、分駐所へ戻った。
高野内たちが分駐所へ戻った頃には、正午近くになっていた。
分駐所には、桑田警部や、貴代子、真希、鶴尾、奈々美がいた。
高野内は、I病院で黒坂由利から話を聞いた内容を、桑田に報告した。
「黒坂由利という女性について、高野内君はどう思うかね」
と、桑田が聞くと、高野内は、
「まだ、はっきりとしたことはいえませんが、それでも、何か事件について知っているか、もしかしたら関係しているような気がするのです」
と答えた。
「でも、まだ彼女が、事件に関わっていたとかいう証拠はないんだな?」
と、桑田が念を押すように言うと、
「はい。そうです」
と、高野内は言った。
そのあと、高野内たちは、分駐所内で、昼食をとった。
昼食を終えると、午後1時近くになった。
それから少し経って、高野内は、
「警部、今度は、岩崎真実について、さらに、いろいろ調べてみたいと思うのですが」
と、桑田のほうへ顔を向けて言った。
「よし、わかった」
と、桑田は言った。
「これから、園町と一緒に、岩崎真実が勤めていた会社とかに行って、彼女について、いろいろ情報を集めてきます」
と、高野内は言いながら、園町と一緒に、分駐所から出た。
そして、覆面車に乗って、新宿区へ向かった。
岩崎真実が勤めていた会社は新宿区にある。
高野内が運転する覆面車は、岩崎真実の勤務先だった情報処理関連の会社を目指して走った。
桑田警部や貴代子、真希もいた。
「警部、岩崎真実の親友の黒坂由利と早崎裕允との接点があるかどうか調べてみたいと思います」
と、高野内がはりきったように言うと、
「黒坂由利という人物が、早崎裕允殺害の件に何か関係あると、高野内君はみているのかね?」
と、桑田は聞いた。
「今はまだはっきりとはいえないのですが、もしかしたら、関係あるかもしれないと、私は思います。ぜひ、黒坂由利に会って、話を聞いてみたいのですが。」
と、高野内は答えた。
「そうか。わかった」
と、桑田は言った。
午前9時過ぎ、高野内と園町は、覆面車で品川区大井にある黒坂由利の自宅に向かった。由利の自宅は集合住宅の3階らしい。
9時50分頃、高野内が運転する覆面車は、由利の自宅の前に到着した。5階建ての賃貸マンションだった。入口には防犯扉がついている。
高野内と園町は、車から降りると、由利の部屋の番号を押して、チャイムを鳴らした。
しかし、返事はなかった。
「仕事に行っているのかもしれませんね」
と、園町が言うと、
「そうだな。勤務先のI病院に行ってみよう」
と、高野内は言いながら、覆面車に向かった。
園町もあとをついてきた。
そして、高野内と園町は、覆面車で、大田区のI病院に向かった。
10時半頃、I病院の駐車場に入った。
病院は、9階建ての大きな建物だった。場所は、池上駅から徒歩でもそれほど時間がかからないところだった。
高野内と園町は、建物に入ると、受付にいる女性に警察手帳を見せながら、
「鉄道警察隊ですが、お宅の病院にお勤めの方に黒坂由利さんはいらっしゃいますかね」
と尋ねた。
「看護師の黒坂でしょうか?」
と、受付の女性は聞き返した。
「そうです」
と、高野内は答えた。
「少々お待ちください」
と、受付係は言ったあと、高野内たちの前から、いったん去った。
そして、数分後、50歳くらいに見える恰幅のよさそうな男を連れてきた。
恰幅のいい男は、高野内たちのほうを向くと、
「警察の方でしょうか?」
と言った。
高野内は、警察手帳を、その男にも見せながら、
「そうですが、看護師の黒坂由利さんにお聞きしたいことがあるのですが」
と言った。
すると、相手は、
「私は、事務長の竹山(タケヤマ)といいますが、黒坂は出勤しております。よろしければ、お呼びいたしますが」
と、少し緊張した表情で言った。
「お願いします」
と、高野内が答えると、竹山は、
「黒坂君が、何か警察のご厄介になるようなことをしたのですか?」
と、入念そうに聞いた。
「いいえ。そういうわけではないのですが、ある事件の捜査で、黒坂さんもお聞きしたいことがあるのです」
と、高野内は、落ち着いた口調で答えた。
「わかりました。黒坂君を呼んできます」
と、竹山は言った。
それから数分後、竹山は、女性の看護師を1人連れてきた。
その看護師は、30代くらいに見える細身の美人で、髪はセミロングだった。
「警察の方でしょうか?」
と、女性看護師は聞いてきた。
「そうです」
と、高野内は答えたあと、相手の顔をじっと見ながら、
「黒坂由利さんですね?」
と言った。
「そうですが、警察の方がわたしに何の御用ですか?」
と、由利は聞き返した。
「我々は、今月の8日に、新幹線『のぞみ218号』の車内で発生した殺人事件の捜査をしています」
と、高野内は言ったあと、
「その殺人事件の害者は、早崎裕允というのですが、我々が調べたら、2年近く前から、岩崎正信さんから、毎月現金5万円が振り込まれていることもわかりました」
と、相手に説明するような言い方で言った。
「それがわたしとどのように関係あるのですか?」
と、由利は、不快そうな表情で言った。
「岩崎正信さんは、あなたの親友だった岩崎真実さんの父親ですよ」
と、今度は、園町が言った。
すると、由利は、
「そうですけど、真実のお父さんが、ハヤサキという男に毎月5万円振り込んでいたことと、そのハヤサキという男が、新幹線の中で殺されたことと、わたしがどういう関係があるのですか?」
と、少し怒ったような声で言った。
「それについて、調べたいと思い、あなたにもお聞きすることにしたのです」
と、高野内が言うと、由利は、
「それなら、わたしは無関係ですわ。第一、ハヤサキという男、知りませんし」
と言った。
「そうですか。わかりました。では、失礼します」
と、高野内は言ったあと、由利の前から去った。
そして、高野内と園町は、覆面車に乗り、分駐所へ戻った。
高野内たちが分駐所へ戻った頃には、正午近くになっていた。
分駐所には、桑田警部や、貴代子、真希、鶴尾、奈々美がいた。
高野内は、I病院で黒坂由利から話を聞いた内容を、桑田に報告した。
「黒坂由利という女性について、高野内君はどう思うかね」
と、桑田が聞くと、高野内は、
「まだ、はっきりとしたことはいえませんが、それでも、何か事件について知っているか、もしかしたら関係しているような気がするのです」
と答えた。
「でも、まだ彼女が、事件に関わっていたとかいう証拠はないんだな?」
と、桑田が念を押すように言うと、
「はい。そうです」
と、高野内は言った。
そのあと、高野内たちは、分駐所内で、昼食をとった。
昼食を終えると、午後1時近くになった。
それから少し経って、高野内は、
「警部、今度は、岩崎真実について、さらに、いろいろ調べてみたいと思うのですが」
と、桑田のほうへ顔を向けて言った。
「よし、わかった」
と、桑田は言った。
「これから、園町と一緒に、岩崎真実が勤めていた会社とかに行って、彼女について、いろいろ情報を集めてきます」
と、高野内は言いながら、園町と一緒に、分駐所から出た。
そして、覆面車に乗って、新宿区へ向かった。
岩崎真実が勤めていた会社は新宿区にある。
高野内が運転する覆面車は、岩崎真実の勤務先だった情報処理関連の会社を目指して走った。