10月20日の正午頃、高野内と園町は、東京駅分駐所に戻った。
桑田警部が、
「高野内君、園町君、何か進展はあったかね」
と、期待したような顔をすると、
「昼食後、八王子にある室野祐治のアパートに行ってみたいと思います」
と、高野内は言った。
「室野祐治って、美ヶ原で殺された人物だろ。何か関係あるのかね?」
と、桑田は、怪訝そうな顔をした。
「黒坂由利は、室野祐治からストーカー行為をされていたことがわかりました」
と、高野内は、強い口調で答えた。
「じゃあ、室野祐治が殺された件に、安心感を覚えているかもしれないな」
と、桑田が言うと、
「間違いなく、黒坂由利は、室野が亡くなって、ほっとしているでしょう」
と、高野内は、はっきりとした口調で言った。
「で、高野内君は、八王子の室野のアパートに、何か手掛かりがあると、考えているのかね?」
と、桑田は、入念そうに言った。
「そうです」
と、高野内は答えた。
「しかし、現時点では、室野が黒坂由利にストーカーをしていた件と、8日に、『のぞみ218号』で、早崎裕允が殺害された件との関連性が見出せないのだが」
と、桑田が納得いかなさそうな顔をすると、
「ですから、室野について、いろいろ調べてみたいと思います」
と、高野内は、真剣そうな表情で言った。
「そうか。じゃあ、行って、調べてきたまえ」
と、桑田は言ったあと、
「俺は、室野祐治が殺害された日時について、あとで長野県警に問い合わせて、確認してみるよ」
と言った。
そして、高野内と園町は、分駐所で昼食を済ませたあと、覆面車に乗った。
運転するのは、高野内である。
高野内運転の覆面車は、首都高速道路を通り、途中で、中央自動車道に入った。
そして、八王子市に入ると、八王子第1出口で、高速道路から出た。
それから、一般道を走り、八王子市内のある住宅街に入った。
しばらくすると、2階建ての古い感じのアパートが見えた。
高野内は、覆面車をアパートの前に止めて、高野内と園町は、車から降りた。
そして、アパートのある部屋に向かった。
その部屋のドアには、『室野』という表札があった。
ドアは施錠されていたので、園町が、携帯電話で、管理する不動産会社に電話し、管理人に来て開けてもらうことにした。
午後2時過ぎ、60歳くらいの男性が来た。管理人のようである。
高野内が、警察手帳を見せると、管理人は、マスターキーでドアの鍵を開錠した。
そのとき、管理人は、
「この部屋は、こないだも、警察の方が捜査のために来られましたね」
と言った。
「どんな方でしたか?」
と、高野内が聞くと、
「女性の警視と男性の警部で、2人とも、あなた方よりも若かったですよ」
と、管理人は、はっきりとした言い方で答えた。
「そうでしたか」
と、高野内は、微笑しながら言った。
「もしかすると…」
と、園町は、高野内のほうを向いて言うと、
「間違いなく、あの2人だな」
と、高野内は言った。
高野内は、手袋をはめた手で、開錠されたドアを開けた。
そして、玄関から中に入った。
すると、高野内たちには、驚くような光景が目に入った。
部屋の壁面中、黒坂由利が写っている写真が貼られているのである。
ほとんどの写真が大きく引き伸ばされていて、業務中に撮影されたと思われるナース服姿の写真や、それ以外のときに撮影されたであろう私服姿まで、様々な写真で壁面が埋め尽くされていた。
また、写真をよく見ると、どの写真にも、隅のほうに日付が入っていた。
「かなり常習性の高いストーカー犯だったようだな」
高野内は、呆れた顔で言った。
壁面に貼られた黒坂由利の写真を見ると、大半の写真はセミロングヘアだが、一部、ボーイッシュなショートヘアーの写真もあった。
「こうしてみると、ヘアスタイルが様々ですね」
園町は、興味深そうに言った。
「3年間のうちに、何かあって、イメージチェンジしたんだろうな」
高野内は、写真を眺めながら答えた。
そのあと、壁面に貼られた写真の何枚かを、スマートフォンのカメラで撮影した。
「そこまで執拗に激しいことをされたら、黒坂由利も、室野祐治に対して、殺意を抱いても、不思議ではありませんね」
園町は、真剣そうな表情で言った。
「園町も、そう思うか」
高野内は、微笑しながら言ったあと、
「長野県の美ケ原で室野祐治が殺害された件と、新幹線『のぞみ218号』の車内で早崎裕允が殺害された件との関連が徐々にだが、見えてきた気がする」
と、はっきりとした口調で言った。
そして、高野内と園町は、管理人に礼を言って、覆面車で東京駅分駐所に戻った。
桑田警部が、
「高野内君、園町君、何か進展はあったかね」
と、期待したような顔をすると、
「昼食後、八王子にある室野祐治のアパートに行ってみたいと思います」
と、高野内は言った。
「室野祐治って、美ヶ原で殺された人物だろ。何か関係あるのかね?」
と、桑田は、怪訝そうな顔をした。
「黒坂由利は、室野祐治からストーカー行為をされていたことがわかりました」
と、高野内は、強い口調で答えた。
「じゃあ、室野祐治が殺された件に、安心感を覚えているかもしれないな」
と、桑田が言うと、
「間違いなく、黒坂由利は、室野が亡くなって、ほっとしているでしょう」
と、高野内は、はっきりとした口調で言った。
「で、高野内君は、八王子の室野のアパートに、何か手掛かりがあると、考えているのかね?」
と、桑田は、入念そうに言った。
「そうです」
と、高野内は答えた。
「しかし、現時点では、室野が黒坂由利にストーカーをしていた件と、8日に、『のぞみ218号』で、早崎裕允が殺害された件との関連性が見出せないのだが」
と、桑田が納得いかなさそうな顔をすると、
「ですから、室野について、いろいろ調べてみたいと思います」
と、高野内は、真剣そうな表情で言った。
「そうか。じゃあ、行って、調べてきたまえ」
と、桑田は言ったあと、
「俺は、室野祐治が殺害された日時について、あとで長野県警に問い合わせて、確認してみるよ」
と言った。
そして、高野内と園町は、分駐所で昼食を済ませたあと、覆面車に乗った。
運転するのは、高野内である。
高野内運転の覆面車は、首都高速道路を通り、途中で、中央自動車道に入った。
そして、八王子市に入ると、八王子第1出口で、高速道路から出た。
それから、一般道を走り、八王子市内のある住宅街に入った。
しばらくすると、2階建ての古い感じのアパートが見えた。
高野内は、覆面車をアパートの前に止めて、高野内と園町は、車から降りた。
そして、アパートのある部屋に向かった。
その部屋のドアには、『室野』という表札があった。
ドアは施錠されていたので、園町が、携帯電話で、管理する不動産会社に電話し、管理人に来て開けてもらうことにした。
午後2時過ぎ、60歳くらいの男性が来た。管理人のようである。
高野内が、警察手帳を見せると、管理人は、マスターキーでドアの鍵を開錠した。
そのとき、管理人は、
「この部屋は、こないだも、警察の方が捜査のために来られましたね」
と言った。
「どんな方でしたか?」
と、高野内が聞くと、
「女性の警視と男性の警部で、2人とも、あなた方よりも若かったですよ」
と、管理人は、はっきりとした言い方で答えた。
「そうでしたか」
と、高野内は、微笑しながら言った。
「もしかすると…」
と、園町は、高野内のほうを向いて言うと、
「間違いなく、あの2人だな」
と、高野内は言った。
高野内は、手袋をはめた手で、開錠されたドアを開けた。
そして、玄関から中に入った。
すると、高野内たちには、驚くような光景が目に入った。
部屋の壁面中、黒坂由利が写っている写真が貼られているのである。
ほとんどの写真が大きく引き伸ばされていて、業務中に撮影されたと思われるナース服姿の写真や、それ以外のときに撮影されたであろう私服姿まで、様々な写真で壁面が埋め尽くされていた。
また、写真をよく見ると、どの写真にも、隅のほうに日付が入っていた。
「かなり常習性の高いストーカー犯だったようだな」
高野内は、呆れた顔で言った。
壁面に貼られた黒坂由利の写真を見ると、大半の写真はセミロングヘアだが、一部、ボーイッシュなショートヘアーの写真もあった。
「こうしてみると、ヘアスタイルが様々ですね」
園町は、興味深そうに言った。
「3年間のうちに、何かあって、イメージチェンジしたんだろうな」
高野内は、写真を眺めながら答えた。
そのあと、壁面に貼られた写真の何枚かを、スマートフォンのカメラで撮影した。
「そこまで執拗に激しいことをされたら、黒坂由利も、室野祐治に対して、殺意を抱いても、不思議ではありませんね」
園町は、真剣そうな表情で言った。
「園町も、そう思うか」
高野内は、微笑しながら言ったあと、
「長野県の美ケ原で室野祐治が殺害された件と、新幹線『のぞみ218号』の車内で早崎裕允が殺害された件との関連が徐々にだが、見えてきた気がする」
と、はっきりとした口調で言った。
そして、高野内と園町は、管理人に礼を言って、覆面車で東京駅分駐所に戻った。