浜崎ヒカルのブログ推理小説

ブログを利用して推理小説を書いています。 鉄道ミステリーが中心になります。

2025年01月

 3月29日の午後2時頃、高野内が運転する覆面車は、東京の千代田区内を走っていた。
 助手席には、園町が座っていた。
 午後2時を過ぎて、しばらくすると、高野内たちが乗った覆面車は、警視庁本部に到着した。
 高野内と園町は、覆面車から降りると、捜査一課を訪ねた。
 そして、岡田警視と玉森警部に会った。
「高野内さん、園町さん、わざわざ本庁まで、何の用件かな?」
 と、岡田が聞くと、
「岩沢雅昭が受けた調査の依頼者のリストがあれば、確認したいのですが」
 と、高野内は言った。
「やっぱり、そういうことか」
 と、岡田は言ったあと、
「ちょっと待ってもらえる?」
 と言ってから、玉森警部と一緒に、いったん高野内たちの前から離れた。
 それから、数分後、A4サイズのコピー用紙に何かが印刷されたものを持って、高野内たちの前に戻ってきた。
「我々も、何度も調べなおしたけど、ここ3年間の依頼者は、たったの10人だよ」
 と、玉森は言いながら、印刷された紙を、高野内に渡した。
 その紙には、依頼者の氏名と住所、それに、依頼があったと思われる年月日が印刷されていた。
 確かに、10人だった。
 高野内は、それらの依頼者の氏名などに目を向けた。
 それから、間もなく、
「あっ!」
 と、やや大きな声を出した。
「どうしたのですか? 高野内さん」
 と、園町が高野内の顔のほうを向くと、
「依頼者の一人に、高沢レナという名前があるのが気になったんだ」
 と、高野内は言った。
 依頼者の氏名の中に、「高沢レナ」の文字があった。
 住所は、東京都世田谷区である。
「高沢レナというと、もしかして…」
 と、園町が言いかけたとき、
「高沢レナがどうしたのかね?」
 と、岡田が言った。
 すると、高野内は、
「高沢レナって、タレントの高沢レナですよね?」
 と、確認するように聞いた。
「そうだよ。だが、彼女は亡くなっているけどね」
 と、岡田は答えた。
 それを聞いた高野内は、
「確か、和歌山線の電車内で亡くなったのですよね。ニュースで知りましたよ」
 と言った。
「そうだが、それが岩沢雅昭が殺害された件と関係あると言いたいのかな?」
 と、岡田は言った。
「まだはっきりと断定はできませんが、岩沢雅昭が亡くなった次の日に亡くなっているのが、引っかかりますね」
 と、高野内は、はっきりとした口調で言った。
 それに続いて、園町が、
「私も同感です」
 と言った。
 東京都内の神田駅で私立探偵が殺された次の日に、依頼人の一人が、遠く離れた和歌山線の電車内で死亡したのである。
 高野内たちは、それが気になってきた。
「高沢レナがどういう内容の依頼をしていたかは、我々も調べている最中だよ」
 と、玉森は言った。
「どういう依頼だったのですか?」
 と、高野内が聞くと、
「それは、まだはっきりとしたことは言えないな」
 と、玉森は答えた。
 それから、間もなく、
「私たちは、今、捜査すべき事件が多くて、忙しいんだ。ほかに用件がなければ、分駐所に戻りたまえ」
 と、岡田は、高野内の眼を見ながら言った。
「わかりました」
 と、高野内と園町は、返事をした。
 そして、高野内と園町は、警視庁の本庁舎をあとにして、覆面車で東京駅分駐所に戻った。

 正午頃、高野内と園町は、東京駅分駐所に戻った。
 分駐所には、香山警部と涼子、奈々美がいた。
 香山警部は、
「ご苦労さん」
 と言ったあと、
「岩沢雅昭の自宅で、何か捜査の手掛かりになるものは見つかったかね?」
 と、高野内のほうを向いて言った。
「特に、これといったものは見つかりませんでしたが、ホトケさんは、よからぬことをして大金を得ようとして殺害された可能性が高いことがわかりました」
 と、高野内は答えたあと、殺害された理由の推測について、説明した。
 すると、香山警部は、
「なるほど。ホトケさんは、ゆすりをしようとして、殺害されたと推測するのかね?」
 と言った。
「その可能性が高いと思います」
 と、高野内は言ったあと、
「しかし、まだ犯人像がわかっていません。岩沢雅昭は、神田駅のトイレで、誰と会っていたのかも…」
 それを聞いた香山警部は、
「肝心な犯人像がわからないと、捜査は進展しないぞ」
 と、やや不満そうな顔をした。
「岩沢が、誰にどんな調査を依頼されて、誰をゆすっていたかを調べることが、今回の事件解決への鍵になると、私は思います」
 と、高野内は、真剣そうな顔で言った。
 すると、今度は、涼子が、
「私立探偵が受けた調査依頼が、3年間でたったの10件って、少なすぎますわね」
 と、怪訝そうな顔をした。
 それを聞いた奈々美は、
「ここ3年間の依頼者のリストが手に入れば、何か進展しそうですね」
 と、高野内のほうを向いて言った。
「そうなんだ」
 と、高野内は言ったあと、
「本庁の捜査員に尋ねてみたいな」
 すると、今度は、園町が、
「教えてもらえるといいですね」
 と言った。
 そのあと、高野内と園町は、分駐所内で、昼食を食べながら、しばらく休憩した。
 そして、午後1時半頃、高野内と園町は、香山警部のほうを向いて、
「警部、これから本庁へ行ってもよろしいでしょうか?」
 と、頭を下げながら言った。
「本庁に行って、どうするつもりなんだ?」
 と、香山警部が聞くと、
「岩沢が、ここ3年間に、誰からどういった調査依頼を受けていたかを、訪ねてみたいのです」
 と、高野内は答えた。
「そうか。わかった。ただし、本庁から抗議が来るようなことを言ったりしたりしてはならんぞ!」
 と、香山警部は、釘を刺すように言った。
「わかりました」
 と、高野内は言った。
 そして、高野内と園町は、覆面車に乗って、警視庁本部に向かった。

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