正午頃、高野内と園町は、東京駅分駐所に戻った。
 分駐所には、香山警部と涼子、奈々美がいた。
 香山警部は、
「ご苦労さん」
 と言ったあと、
「岩沢雅昭の自宅で、何か捜査の手掛かりになるものは見つかったかね?」
 と、高野内のほうを向いて言った。
「特に、これといったものは見つかりませんでしたが、ホトケさんは、よからぬことをして大金を得ようとして殺害された可能性が高いことがわかりました」
 と、高野内は答えたあと、殺害された理由の推測について、説明した。
 すると、香山警部は、
「なるほど。ホトケさんは、ゆすりをしようとして、殺害されたと推測するのかね?」
 と言った。
「その可能性が高いと思います」
 と、高野内は言ったあと、
「しかし、まだ犯人像がわかっていません。岩沢雅昭は、神田駅のトイレで、誰と会っていたのかも…」
 それを聞いた香山警部は、
「肝心な犯人像がわからないと、捜査は進展しないぞ」
 と、やや不満そうな顔をした。
「岩沢が、誰にどんな調査を依頼されて、誰をゆすっていたかを調べることが、今回の事件解決への鍵になると、私は思います」
 と、高野内は、真剣そうな顔で言った。
 すると、今度は、涼子が、
「私立探偵が受けた調査依頼が、3年間でたったの10件って、少なすぎますわね」
 と、怪訝そうな顔をした。
 それを聞いた奈々美は、
「ここ3年間の依頼者のリストが手に入れば、何か進展しそうですね」
 と、高野内のほうを向いて言った。
「そうなんだ」
 と、高野内は言ったあと、
「本庁の捜査員に尋ねてみたいな」
 すると、今度は、園町が、
「教えてもらえるといいですね」
 と言った。
 そのあと、高野内と園町は、分駐所内で、昼食を食べながら、しばらく休憩した。
 そして、午後1時半頃、高野内と園町は、香山警部のほうを向いて、
「警部、これから本庁へ行ってもよろしいでしょうか?」
 と、頭を下げながら言った。
「本庁に行って、どうするつもりなんだ?」
 と、香山警部が聞くと、
「岩沢が、ここ3年間に、誰からどういった調査依頼を受けていたかを、訪ねてみたいのです」
 と、高野内は答えた。
「そうか。わかった。ただし、本庁から抗議が来るようなことを言ったりしたりしてはならんぞ!」
 と、香山警部は、釘を刺すように言った。
「わかりました」
 と、高野内は言った。
 そして、高野内と園町は、覆面車に乗って、警視庁本部に向かった。