3月29日の午後4時過ぎ、高野内と園町は、東京駅分駐所に戻っていた。
高野内は、パソコンで高沢レナが所属していた芸能事務所のホームページを検索した。
すると、神河芸能(カミカワ・ゲイノウ)という芸能事務所に所属していることがわかった。
そのホームページには、高沢レナの訃報についての文章が載っていた。
ホームページ内には、芸能事務所の所在地や代表取締役の氏名も載っていた。
所在地は、東京都港区で、代表取締役は、神河貴伸(カミカワ・タカノブ)という名前だった。
顔写真の画像も載っていた。
それを見ながら、高野内は、突然、
「あっ、もしかすると…」
と、やや大きな声を出した。
「どうしたのですか?」
と、園町が言うと、
「高沢レナが所属する芸能事務所は、神河芸能という会社名で、代表取締役が神河という苗字なんだ」
と、高野内は、声を大きくしながら言った。
すると、園町は、
「会社名も代表取締役の苗字も、漢字で書くと、はじめの文字が『神』ですね」
と言った。
「神」の文字は、岩沢の事務所のカレンダーに書かれていた。
そのときは、まだその意味がわからなかった。
「岩沢が、カレンダーに書いた『神』の文字は、神田駅ではなく、神河芸能か神河貴伸を示していた可能性もありそうだな」
と、高野内は言った。
そのとき、高野内の背後に、香山警部が来た。
そして、香山警部は、
「高野内君、捜査に進展があったようだな」
と、少しうれしそうな顔で言った。
高野内は、
「事件のカギは、神河芸能にありそうな気がするのです。その芸能事務所には、死亡したタレントの高沢レナが所属していたのですが、高沢レナは、岩沢雅昭に何かの依頼をしていたそうです」
と、はっきりとした口調で言った。
「そうか。高野内君、明日、園町君と一緒に、神河芸能に聞き込みに行ってみたまえ」
と、香山警部は言った。
「はい。ぜひ、行かせてもらいます」
と、高野内は言った。
そのあとも、高野内は、神河芸能のホームページの閲覧を続けていた。
「あっ、杉谷達也(スギタニ・タツヤ)も神河芸能の所属か」
と、高野内は、やや大きな声を出した。
杉谷達也は、26歳の人気俳優である。
ホームページには、顔写真も載っていた。
それを聞いた涼子は、
「そういえば、昨日、東京駅構内をパトロールしていたときに、杉谷達也らしい男の人を見ましたわ」
と、何かを思い出したように言った。
「そうか。でも、杉谷達也は、まだ事件に関係あるとは限らないだろう」
と、高野内は言った。
「そうですけど」
と、涼子は言った。
そのあと、高野内と園町は、東京駅構内で防犯目的のパトロールをして、夜の10時頃、退勤した。
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