分駐所に戻ると、田村警部や貴代子、窈子が出勤していた。
「ごくろうだったな」
と、田村警部が言うと、高野内は、田村に、捜査した内容や、森本愛子のアリバイトリックを説明した。
すると、田村は、
「よし、森本愛子の逮捕状を請求しに行ってくれ」
そして、高野内は、裁判所へ、森本愛子の逮捕状を請求した。
午後には、逮捕状が発行された。
逮捕状を手にした高野内は、少しやりきれない気持ちで、田村に、
「ついに、森本愛子の逮捕状が出ました。事件解決ですね」
田村は、
「そうだな」
と、言ったあと、
「よし、高野内君、園町君、一時君は、令状を持って、森本愛子を逮捕しに行ってくれ」
「わかりました」
そして、高野内、園町、窈子の3人は、新幹線で姫路へ行き、駅から乗用車のレンタカーを借りて、姫路市にある森本愛子の自宅へ向かった。
高野内運転のレンタカーは、20分ほど走り、郊外の住宅街へ入った。
そして、『森本』の表札のかかった2階建ての一戸建て住宅の前に車を止めた。
時刻は、午後9時半を過ぎている。
高野内が、門の横のチャイムを鳴らすと、中年過ぎの男が出てきた。
「夜分にすいません。私たち、警視庁鉄道警察隊の者です」
と、高野内は言いながら、警察手帳を、出てきた男に見せた。
男は、不快そうに、
「東京の刑事さんが、夜中に何の用ですか?」
「森本愛子さんのお宅でしょうか?」
と聞くと、相手は、
「そうですが、娘の愛子が何かしたのでしょうか?」
と、少し狼狽したような声を出した。
「愛子さんには、中央線電車で起きた殺人事件の容疑がかかっています。逮捕状も出ています」
と、高野内は言い、窈子が、バッグを開けて、逮捕状を見せた。
すると、愛子の父親は、
「そんな。うちの愛子が…」
と、一瞬取り乱しそうになったが、すぐに、愛子を呼びに、いったん、家へ入った。
そして、愛子を連れて、高野内たちの前に出てきた。母親も出てきた。
高野内は、愛子のほうを向くと、
「森本愛子さん、あなたを、住川光恵殺人の容疑で、逮捕します」
と言いながら、手錠をかけた。
丁寧な口調で言ったのは、愛子のほうが憎めなかったからである。
高野内たちは、愛子をレンタカーの後部席に乗せると、姫路市内の警察署へ向かった。
翌朝、東京へ身柄を送るのだが、時間があるため、姫路市内の署で、取り調べることにした。
高野内たちが、住川光恵殺人のトリックやアリバイトリック、奥田由香が光恵の出勤時間を教えたことなどを説明すると、愛子は、容疑を認める供述をした。
供述内容は、高野内たちの推理内容どおりだった。
「光恵だって、哲雄さんを殺したようなものだわ」
と、愛子が言うと、高野内は、
「確かに、住川光恵のやった行為は許せませんよ。しかし、いくら住川光恵が、そんな人間でも、世の中に殺されていい人間は、一人もいないんです。亡くなった哲雄さんも、きっと、悲しんでいるに違いありません」
それを聞いた愛子は、しばらく黙り込んで、涙を流した。
THE END
「ごくろうだったな」
と、田村警部が言うと、高野内は、田村に、捜査した内容や、森本愛子のアリバイトリックを説明した。
すると、田村は、
「よし、森本愛子の逮捕状を請求しに行ってくれ」
そして、高野内は、裁判所へ、森本愛子の逮捕状を請求した。
午後には、逮捕状が発行された。
逮捕状を手にした高野内は、少しやりきれない気持ちで、田村に、
「ついに、森本愛子の逮捕状が出ました。事件解決ですね」
田村は、
「そうだな」
と、言ったあと、
「よし、高野内君、園町君、一時君は、令状を持って、森本愛子を逮捕しに行ってくれ」
「わかりました」
そして、高野内、園町、窈子の3人は、新幹線で姫路へ行き、駅から乗用車のレンタカーを借りて、姫路市にある森本愛子の自宅へ向かった。
高野内運転のレンタカーは、20分ほど走り、郊外の住宅街へ入った。
そして、『森本』の表札のかかった2階建ての一戸建て住宅の前に車を止めた。
時刻は、午後9時半を過ぎている。
高野内が、門の横のチャイムを鳴らすと、中年過ぎの男が出てきた。
「夜分にすいません。私たち、警視庁鉄道警察隊の者です」
と、高野内は言いながら、警察手帳を、出てきた男に見せた。
男は、不快そうに、
「東京の刑事さんが、夜中に何の用ですか?」
「森本愛子さんのお宅でしょうか?」
と聞くと、相手は、
「そうですが、娘の愛子が何かしたのでしょうか?」
と、少し狼狽したような声を出した。
「愛子さんには、中央線電車で起きた殺人事件の容疑がかかっています。逮捕状も出ています」
と、高野内は言い、窈子が、バッグを開けて、逮捕状を見せた。
すると、愛子の父親は、
「そんな。うちの愛子が…」
と、一瞬取り乱しそうになったが、すぐに、愛子を呼びに、いったん、家へ入った。
そして、愛子を連れて、高野内たちの前に出てきた。母親も出てきた。
高野内は、愛子のほうを向くと、
「森本愛子さん、あなたを、住川光恵殺人の容疑で、逮捕します」
と言いながら、手錠をかけた。
丁寧な口調で言ったのは、愛子のほうが憎めなかったからである。
高野内たちは、愛子をレンタカーの後部席に乗せると、姫路市内の警察署へ向かった。
翌朝、東京へ身柄を送るのだが、時間があるため、姫路市内の署で、取り調べることにした。
高野内たちが、住川光恵殺人のトリックやアリバイトリック、奥田由香が光恵の出勤時間を教えたことなどを説明すると、愛子は、容疑を認める供述をした。
供述内容は、高野内たちの推理内容どおりだった。
「光恵だって、哲雄さんを殺したようなものだわ」
と、愛子が言うと、高野内は、
「確かに、住川光恵のやった行為は許せませんよ。しかし、いくら住川光恵が、そんな人間でも、世の中に殺されていい人間は、一人もいないんです。亡くなった哲雄さんも、きっと、悲しんでいるに違いありません」
それを聞いた愛子は、しばらく黙り込んで、涙を流した。
THE END